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2009年09月10日

連続小説 6) 斡旋所再び

ソフィアさんのイメージが特になかったので(^^;
とりあえず美人さんを。

美人画といえば鶴田一郎さん。
ノエビアとかカルピスのCMでおなじみですよね。
連続小説 6) 斡旋所再び

ご本人のオフィシャルサイトです。
年代毎の代表作を見ることが出来ます。
http://www.tsuruta-bijinga.com/works/index.html
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『トラブルスイーパー エディ・ガイオット 伯爵令嬢と消えた人形』

6) 斡旋所再び
 斡旋所の中はかなり片付いていて、奥の方でスイーパーが数人酒を飲んで騒いでいる。
 カウンターの中にいたマスターが少佐の顔を見てにこやかに笑う(あんな顔もするんだな)
「やぁマスター。昨日は無理を聞いて貰って悪かったな。これはほんの気持ちだ」
 少佐が高そうな煙草を取り出しマスターに渡す。マスターの顔が更に崩れる。
「おお、こりゃすまんな。どっかの誰かと違って気が利くのー」
「すいませんね気が利かなくて。ずいぶん片付いたみたいじゃないですか。すぐにでも再開できそうだ」
「そうじゃろ。持つべき物は仲間じゃな。皆で片付けを手伝ってくれた。誰かさんを除いてな」
「うへっ、勘弁してくださいよ。アパートを追い出されるところだったもんで。この埋め合わせは必ずしますから。ね」
 手を合わせるエディを見てマスターが意味深な笑顔を浮かべる。
「ま、いいじゃろ。少佐から事情は聞いておるしの。お主もおかげでアパートを追い出されずにすんだんじゃろ?」
「へいへい、おかげさま少佐さまでございます」
 頃合いを見て少佐が話を切り出す。
「マスター頼みがあるんだが」
「うむ、爆破当時の映像かの?」
「あれ、なんで判ったんです? 少佐は頼みがあるって言っただけなのに?」
「ふ、お互いプロじゃからな。ツーと言えばカーというやつだ」
「それじゃあまるで、俺はプロじゃないみたいじゃないですか。なんだかなー」
「プロといっても色々いるからの。ほれこれじゃ」
 マスターが端末を操作すると早送りで映像が映し出される。
「この辺からでいいかの。爆破の一分前じゃ」
 モニターには斡旋所の入り口付近が外から映し出されている。
「こんな所にカメラがあったんだ。知りませんでしたよ」
「カメラには二種類あっての。いかにもカメラですよと主張する物と、そうとは気づかせん物だ。両方設置せんと普通は役にたたん」
「じゃあ俺が普段見てるカメラは?」
「そりゃ、わざと見せつけてる方じゃろ」
「それって」
「一般人レベルということかの」
 何か言い返したい所だがうまい台詞が思いつかないので黙っていることにする。
「そろそろじゃな」
 すーっとドアが空き、再び閉まり直ぐに爆発がおきる。
「あれ、今の誰か写ってました?」
「もう一度再生するぞ」
 誰も写っていない。ドアが勝手に開いて閉まったように見える。
「これって」
「ゴーストかの」
「ゴ、ゴーストって伯爵ですか?」
「ほほ、お主も少しは物を覚えてきたようじゃな」
「えへへ、ついさっき。でもこれじゃ役にたたないんじゃありません? 何も見えないんじゃ無いのも同然では?」
「マスター、ゴーストモードを頼めるか」
「ほいほい」
「えっ、マスターそんなの使えるんですか? もしかして伯爵家の関係者?」
「なわけ、なかろう。蛇の道は蛇と言ってな。長年この商売をしてると色々覚えるもんさ。さて、これでどうだ」
「あっ、こいつは……って誰だ?」
 モニターにはドアを開ける人影が映っているが、妙にぼやけて顔の判別は出来ない。
「さすがに変装無しとはいかないようだな。だが伯爵家の領地内でゴーストモードを使える者は限られているから、関係者が見れば誰かは想像が付くだろう。マスター、コピーをお願いできるかな」
「ほいよ、来る頃だと思って用意しておいた。室内の映像も入れておいたぞ」
 マスターが取り出したディスクを少佐に渡す。
「すまないマスター、この礼はまた今度」
「ツーカーって奴ですか」
「そう言う事じゃ。それと室内の映像を見れば判ることじゃが、うちの連中は誰も爆弾だと叫んではおらん」
「というと、やはり?」
「投げ込んだ奴が叫んでいったんじゃろうのう」
「少佐の読み通りですね」
「火もでんかったしの。暴徒鎮圧用の爆薬といったところかの」
「それじゃあ出所は限られますね」
「そうかもしれんが、そもそも売り物でなければ出所は判らんかもしれんな」
「うーん、そう簡単にはいかないか」
「それが、人生ってやつじゃな」
 大して有り難くもない教訓を耳に店を出る。

 車に向かう道すがらさっきから気になっていたことを聞いてみる。
「ゴーストモードを使ったって事はやはりベルモント氏ですかね?」
「どうかな。ゴーストモードといってもそう単純な物でもないだろうしな」
「というと?」
「伯爵家の者が対象になるのは最高レベルのモードだろうが、それ以外にもレベルの低いモードが複数用意されてるだろうって事だ」
「レベルの低いモード?」
「伯爵子飼いの実行部隊とかあるいは軍警察の諜報部とか、そういう連中が隠密行動を取るには便利だろ?」
「そ、それはそうでしょうけど。それってやばくないです?」
 少佐、じっとエディを見つめ
「何かやばいことでもしているのか?」
 エディあわてて、打ち消す。
「いえ、そんな。でも、見えない相手が周りをうろついてたら気味悪いでしょ?」
「目の前に現れた相手が見えない訳じゃないからそう気にすることもないだろう。まあ、カメラ任せの防犯設備だと問題だろうが」
 そんなものなのかと疑問に思いながら車に乗り込む。
「どうします? 他にどこか回りますか?」
「いや、これ以上の収穫は無いだろう。事務所に向かってくれ。それと明日は早いから今日は酒もギャンブルも無しだぞ」
「へへ、判ってますって。朝お迎えにいきますよ」
「うむ、そうしてくれ」

 少佐の事務所前。去っていく車を見送る少佐。
「ずいぶん色んな事話してたわね。彼なにか気になるの?」
「なんだか妙なところで感がいい奴だと思ってね」
「邪魔されるかも?」
「邪魔はさせんさ。だが、その場で色々説明させられてはかなわんからな。納得して無くてもこっちの言うことを聞かせるには信用させるに限る」
「黒いわねー」
「カラスだからな」


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Posted by Syousa Karas at 06:03│Comments(0)小説
 
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