2009年09月06日
連続小説 2) カラスを連れた女
小説の続きです。
少佐のイメージモデルは言わずと知れた(?)攻殻機動隊の素子さんです。
私のアバター名「Syousa」もここから取りました。
この方です。

攻殻機動隊は最近、BDで発売されました。人気があるんですねー(^^
http://www.kokaku-s.com/
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『トラブルスイーパー エディ・ガイオット 伯爵令嬢と消えた人形』
2) カラスを連れた女
「あれ?」
ポケットから引っ張り出した依頼書を見てエディが困った顔をする。どうやら、あの騒ぎの際に見ていた依頼書をポケットに突っ込んでしまったようだ。
「こりゃまずいな。返しに行くか」
そう呟くと振り返り、来た道を戻り始めるが少し歩いた所で立ち止まる。
(まてよ。今返しに行ってもそれどころじゃないよな。依頼人は急いでるだろうし、俺も金がいると……)
依頼書を見つめ考え込むエディ。
「いらないのなら、私が貰おうか?」
突然、考えを見透かされたような台詞をかけられ、依頼書から視線を上げると怪しげな女がこちらを見つめている。
黒いジャケットとミニスカート、光沢を持ったストッキング。そして肩にはカラス。
(カラス? どこかで見たような)
「もしかしてそのストッキング、SSケプラー製かい?」
「ああ、よく判ったな」
「すごいのをはいてるもんだ」
(SSケプラーというのは防弾・防刃機能を1mmにも満たない厚さで実現する素材のことで、通常は柔軟性があり動きを妨げるような事はないが、銃弾のように高速な物体がぶつかった際に硬化するという特性を持つ。一般的に購入できる繊維の中では最も高価で、俺の年収では一足も買えないだろう。相当稼いでるって事だな。危険な仕事で……)
そんな思案を知ってか知らずか、女はぬけぬけと言い放つ。
「こいつは滅多なことでは伝線しないから、彼女にプレゼントすると喜ばれるぞ」
(そんな物をはいてる様な、物騒な女と付き合うのは御免だよ。ま、それ以前に俺の懐具合じゃ買えないがね)
「あんたは確かカラス、いや少佐だったかな?」
「好きな方で呼んでくれていい。それよりどうするんだその依頼。やるのか? やらないのか?」
性急な女の問いに慌てて答える。
「ちょっと待ってくれ。実はこれ勝手に持ってきちまったもんなんだ。マスターに返しに行こうかと思ってたところでね」
女はエディを見てにやっと笑う。
「金がいるんじゃないのか?」
「うっ、なぜそれを?」
「普段こっちの斡旋所じゃ見かけないお前がやって来たって事は、直ぐに金が必要で仕事が欲しいからじゃないのか?」
(ちっ。読まれてるな)
「よし判った。その仕事、二人で受けようじゃないか。マスターには私の方から断っておく」
そう言うと、くるっと向きを変えて歩き出す女に少々むっとしながら声をかける。
「おいおい。俺はまだ何にも言っちゃいないぞ。あんたと組むなんて」
女は立ち止まりもせずにこう答えた。
「よければ少しくらい貸してあげましょうか?」
「……」「仕事料は折半だからな。それと部屋代六ヶ月分と車の質請け代を貸してくれ」
「いいわよ」
歩き続ける女の後を追いかけ、ついにやけた声を出す。
「おいおい、ずいぶん気前がいいな。俺に惚れたのか?」
「金は仕事料から引いておくぞ」
「まぁ、それはそうだな……」
「それじゃあまず車を出して、私の事務所に来てくれ。これで足りるか?」
女が立ち止まり紙幣と名刺を差し出す。名刺を見ると一等地に建つ高級オフィスビルの名前が書いてある。
「ほー。いい所に事務所を構えてるんだな」
「誰かさんと違って負けるギャンブルはしないからな」
「……」
言い返す言葉を考えていると女は眉をひそめ。
「何をしている?」
「え?」
「車を出して事務所だ。判ったか?」
「あ、ああ悪かった。それじゃあ行ってくる」
すっかり主導権を取られてしまった。金を借りちまったし仕方ないか。
小走りで遠ざかっていくエディの後ろ姿を見ながら女が呟く。
「言葉遣いに気をつけろ。怪しまれる」
「あら、いいじゃない。あなたも少しは女らしい言葉遣いを覚えた方がいいわよ」
「私は十分、女らしいつもりだが?」
「うふふ。確かにそうかもね」
「……」
「どうしたの黙り込んじゃって」
「なんでもない。いくぞ」
少佐のイメージモデルは言わずと知れた(?)攻殻機動隊の素子さんです。
私のアバター名「Syousa」もここから取りました。
この方です。

攻殻機動隊は最近、BDで発売されました。人気があるんですねー(^^
http://www.kokaku-s.com/
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『トラブルスイーパー エディ・ガイオット 伯爵令嬢と消えた人形』
2) カラスを連れた女
「あれ?」
ポケットから引っ張り出した依頼書を見てエディが困った顔をする。どうやら、あの騒ぎの際に見ていた依頼書をポケットに突っ込んでしまったようだ。
「こりゃまずいな。返しに行くか」
そう呟くと振り返り、来た道を戻り始めるが少し歩いた所で立ち止まる。
(まてよ。今返しに行ってもそれどころじゃないよな。依頼人は急いでるだろうし、俺も金がいると……)
依頼書を見つめ考え込むエディ。
「いらないのなら、私が貰おうか?」
突然、考えを見透かされたような台詞をかけられ、依頼書から視線を上げると怪しげな女がこちらを見つめている。
黒いジャケットとミニスカート、光沢を持ったストッキング。そして肩にはカラス。
(カラス? どこかで見たような)
「もしかしてそのストッキング、SSケプラー製かい?」
「ああ、よく判ったな」
「すごいのをはいてるもんだ」
(SSケプラーというのは防弾・防刃機能を1mmにも満たない厚さで実現する素材のことで、通常は柔軟性があり動きを妨げるような事はないが、銃弾のように高速な物体がぶつかった際に硬化するという特性を持つ。一般的に購入できる繊維の中では最も高価で、俺の年収では一足も買えないだろう。相当稼いでるって事だな。危険な仕事で……)
そんな思案を知ってか知らずか、女はぬけぬけと言い放つ。
「こいつは滅多なことでは伝線しないから、彼女にプレゼントすると喜ばれるぞ」
(そんな物をはいてる様な、物騒な女と付き合うのは御免だよ。ま、それ以前に俺の懐具合じゃ買えないがね)
「あんたは確かカラス、いや少佐だったかな?」
「好きな方で呼んでくれていい。それよりどうするんだその依頼。やるのか? やらないのか?」
性急な女の問いに慌てて答える。
「ちょっと待ってくれ。実はこれ勝手に持ってきちまったもんなんだ。マスターに返しに行こうかと思ってたところでね」
女はエディを見てにやっと笑う。
「金がいるんじゃないのか?」
「うっ、なぜそれを?」
「普段こっちの斡旋所じゃ見かけないお前がやって来たって事は、直ぐに金が必要で仕事が欲しいからじゃないのか?」
(ちっ。読まれてるな)
「よし判った。その仕事、二人で受けようじゃないか。マスターには私の方から断っておく」
そう言うと、くるっと向きを変えて歩き出す女に少々むっとしながら声をかける。
「おいおい。俺はまだ何にも言っちゃいないぞ。あんたと組むなんて」
女は立ち止まりもせずにこう答えた。
「よければ少しくらい貸してあげましょうか?」
「……」「仕事料は折半だからな。それと部屋代六ヶ月分と車の質請け代を貸してくれ」
「いいわよ」
歩き続ける女の後を追いかけ、ついにやけた声を出す。
「おいおい、ずいぶん気前がいいな。俺に惚れたのか?」
「金は仕事料から引いておくぞ」
「まぁ、それはそうだな……」
「それじゃあまず車を出して、私の事務所に来てくれ。これで足りるか?」
女が立ち止まり紙幣と名刺を差し出す。名刺を見ると一等地に建つ高級オフィスビルの名前が書いてある。
「ほー。いい所に事務所を構えてるんだな」
「誰かさんと違って負けるギャンブルはしないからな」
「……」
言い返す言葉を考えていると女は眉をひそめ。
「何をしている?」
「え?」
「車を出して事務所だ。判ったか?」
「あ、ああ悪かった。それじゃあ行ってくる」
すっかり主導権を取られてしまった。金を借りちまったし仕方ないか。
小走りで遠ざかっていくエディの後ろ姿を見ながら女が呟く。
「言葉遣いに気をつけろ。怪しまれる」
「あら、いいじゃない。あなたも少しは女らしい言葉遣いを覚えた方がいいわよ」
「私は十分、女らしいつもりだが?」
「うふふ。確かにそうかもね」
「……」
「どうしたの黙り込んじゃって」
「なんでもない。いくぞ」
Posted by Syousa Karas at 06:03│Comments(4)
│小説
この記事へのコメント
読みました〜
良いネ
連続小説いよいよ事件の始まりネ
良いネ
連続小説いよいよ事件の始まりネ
Posted by tim at 2009年09月06日 09:33
おはー(^^
以前配布したやつ修正したら話がどんどん伸びてくw
以前配布したやつ修正したら話がどんどん伸びてくw
Posted by Syousa Karas at 2009年09月06日 10:54
これおもしろかったよ。
あの頃SYOUSA、そういえば
女性アバターだったよね~懐かしい^^
修正してお話伸びてるのね。
楽しみ^^
あの頃SYOUSA、そういえば
女性アバターだったよね~懐かしい^^
修正してお話伸びてるのね。
楽しみ^^
Posted by みな at 2009年09月06日 19:33
よろしくー(^^v
Posted by Syousa Karas
at 2009年09月07日 06:13
