2009年09月05日
創作小説を一つ
SL世界をモチーフに小説を書きました。
ただしそのままでは何でも有りになってしまうので、いくつか制限を盛り込んでいます。
例えば、「人は空を飛べない」「単体でTPはできない(魔法やテクノロジーを使えば可能)」等です。
実は1年以上前にSL内で配布したのですが、全くといっていいほど反応なし……。そのまま捨てるのも悲しいので、今回加筆修正してブログに載せる事にしました。楽しんでいただければ幸いです。
ちなみにエディのイメージモデルはCOWBOY BEBOPのスパイクさん(の若い頃)です。
脳内補完して下さいw
この方です。

DVDBOXも発売されていますのでご紹介。
http://www.bandaivisual.co.jp/dbeat/bebop/index.html
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『トラブルスイーパー エディ・ガイオット 伯爵令嬢と消えた人形』
1) 掃除屋の溜まり場
どこにでもありそうな下町の古びた酒場。奥のテーブルで数組の客が酒を飲んでいる。入り口付近には立ち飲み用のテーブルがいくつか並んでいて、男が書類の束を乱暴にめくっていた。
「こら、エディ。もっと丁寧に扱わんか。」
カウンターの中でサンドイッチを作っていた年寄りが声を荒げる。
「わるいねマスター。あせってるもんでつい。しかし、ろくな依頼が無いなー」
皿に盛ったサンドイッチを銀のトレーに乗せていたマスターが動きを止め、上目遣いに男を見る。
「そんなこと無かろう。スニッキーの酒場の用心棒なんぞお前に合ってるんじゃないか?」
エディと呼ばれた男が依頼書の束から目を離さずに答える。
「多分雇って貰えないんじゃないかな。この間、用心棒をぶちのめしちまったし」
「なんじゃ、それで依頼が来とるのか。それじゃ、商隊の護衛はどうじゃ? 結構いい金になるぞ」
「うーん。金が入るのが一月先じゃあねー」
「我が儘な奴じゃの。なんならわしが掛け合って前金を出して貰おうか?」
「そりゃ有り難い。うん? これは?」
一枚の依頼書をよく見ようと身を乗り出すのとほぼ同時、酒場のドアが音もなく開いたかと思うと何かが放り込まれた。それはころころと転がりエディのいるテーブルの方に転がっていく。
「爆弾だ!」
刹那。マスターの頭を押さえ込むように奥のカウンターに飛び込む。
一瞬間をおいて爆風がおこり、轟音が響き渡る。
年代物の酒場は大きく揺れ、大量のほこりが舞う。
カウンターの中で体を調べ、怪我が無い事を確認すると頭の上に乗っていたレタスのゴミを払って口に放り込み、銀色に輝くトレーをゆっくりと頭上に持ち上げる。
薄く曇ったトレーに散らかった店内が写り込む。さっきまでいたテーブルはめちゃくちゃに壊れ、依頼書が辺りに散乱している。
トレーを回転させて辺りを見渡していると、隣でうずくまっていたマスターが呟く。
「一発だけだったようじゃな」
体のほこりを払いながらゆっくり立ち上がりレタスをかじる。
「これがゆで卵ならハードボイルドなんだろうな」
フォルテモード伯爵領、下町にあるトラブルスイーパーの斡旋所。
爆風でめちゃくちゃになった店内。物陰に隠れていた客達が現れる。皆ほこりまみれだ。
「ちくしょう、どこのどいつだ!」
「ぶっ殺してやる」
「誰か恨みでも買ってる奴がいるんじゃないのか?」
「ばーか、そんなのはここにいる全員だろうが」
「ちげーねぇ!」
テーブルや椅子が散乱した店内に下卑た笑いがこだまする。
一人の男が急にまじめな顔になり、マスターに話しかける。
「で、親父どうするんだ?」
皆の視線がマスターに集中する。
「うーん」
男達がマスターの周りに集まってくる。一癖も二癖もという表現がぴったりの風貌だ。
「犯人を突き止めて、このお返しをするんだろうな?」
「そうさなー」
乗り気で無さそうなマスターを見て、男は不思議そうな顔をする。
「何悩んでるんだ? 親父の依頼なら安くしとくぜ」
「おうよ、いつも世話になってるからな。そうだろみんな?」
店内の客が声を揃えて答える。
「おう、まかしとけ!」
「スイーパーの斡旋所に仕掛けてくるような奴は、ただじゃおかねえ」
「そうだそうだ!」
勢いづく客達にマスターが呟く。
「まずはちらかった店内の掃除から頼むかのー」
皆、沈黙する。
「いつも世話になってるんじゃろ? ほら片付けた片付けた」
「マジかよ。仕事料はでるのか?」
「飯くらい食わせてやるよ。ほらそっちのテーブルと椅子」
「しかたねえなー」
ぶつぶついいながらも片付けを始める客達を尻目にエディはこっそり店を後にする。
(マスターわるいな。昨日のカードですっからかんなんだ。飯もありがたいけどまずは金、金。しゃあない。新しく出来た斡旋所にでも行ってみるか)
店の外に集まった野次馬をかき分けて街の中心部に向かう事にする。途中、軍警察の車とすれ違う。
(今頃お出ましかよ。ま、こんな下町の、おまけにスイーパーの斡旋所が現場じゃ点数も稼げないって事か)
しばらく歩くと賑やかな中心街に入る。今時のお洒落な格好をした連中でごった返している。ここで爆弾騒ぎが起きたら軍警察も張り切って駆けつけてくるんだろうな。
そんなことを考えつつ何気にポケットに手を突っ込むと指先に触れる物がある。
おや?という顔をしてポケットから一枚の紙を引っ張り出す。依頼書だった。
ただしそのままでは何でも有りになってしまうので、いくつか制限を盛り込んでいます。
例えば、「人は空を飛べない」「単体でTPはできない(魔法やテクノロジーを使えば可能)」等です。
実は1年以上前にSL内で配布したのですが、全くといっていいほど反応なし……。そのまま捨てるのも悲しいので、今回加筆修正してブログに載せる事にしました。楽しんでいただければ幸いです。
ちなみにエディのイメージモデルはCOWBOY BEBOPのスパイクさん(の若い頃)です。
脳内補完して下さいw
この方です。

DVDBOXも発売されていますのでご紹介。
http://www.bandaivisual.co.jp/dbeat/bebop/index.html
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『トラブルスイーパー エディ・ガイオット 伯爵令嬢と消えた人形』
1) 掃除屋の溜まり場
どこにでもありそうな下町の古びた酒場。奥のテーブルで数組の客が酒を飲んでいる。入り口付近には立ち飲み用のテーブルがいくつか並んでいて、男が書類の束を乱暴にめくっていた。
「こら、エディ。もっと丁寧に扱わんか。」
カウンターの中でサンドイッチを作っていた年寄りが声を荒げる。
「わるいねマスター。あせってるもんでつい。しかし、ろくな依頼が無いなー」
皿に盛ったサンドイッチを銀のトレーに乗せていたマスターが動きを止め、上目遣いに男を見る。
「そんなこと無かろう。スニッキーの酒場の用心棒なんぞお前に合ってるんじゃないか?」
エディと呼ばれた男が依頼書の束から目を離さずに答える。
「多分雇って貰えないんじゃないかな。この間、用心棒をぶちのめしちまったし」
「なんじゃ、それで依頼が来とるのか。それじゃ、商隊の護衛はどうじゃ? 結構いい金になるぞ」
「うーん。金が入るのが一月先じゃあねー」
「我が儘な奴じゃの。なんならわしが掛け合って前金を出して貰おうか?」
「そりゃ有り難い。うん? これは?」
一枚の依頼書をよく見ようと身を乗り出すのとほぼ同時、酒場のドアが音もなく開いたかと思うと何かが放り込まれた。それはころころと転がりエディのいるテーブルの方に転がっていく。
「爆弾だ!」
刹那。マスターの頭を押さえ込むように奥のカウンターに飛び込む。
一瞬間をおいて爆風がおこり、轟音が響き渡る。
年代物の酒場は大きく揺れ、大量のほこりが舞う。
カウンターの中で体を調べ、怪我が無い事を確認すると頭の上に乗っていたレタスのゴミを払って口に放り込み、銀色に輝くトレーをゆっくりと頭上に持ち上げる。
薄く曇ったトレーに散らかった店内が写り込む。さっきまでいたテーブルはめちゃくちゃに壊れ、依頼書が辺りに散乱している。
トレーを回転させて辺りを見渡していると、隣でうずくまっていたマスターが呟く。
「一発だけだったようじゃな」
体のほこりを払いながらゆっくり立ち上がりレタスをかじる。
「これがゆで卵ならハードボイルドなんだろうな」
フォルテモード伯爵領、下町にあるトラブルスイーパーの斡旋所。
爆風でめちゃくちゃになった店内。物陰に隠れていた客達が現れる。皆ほこりまみれだ。
「ちくしょう、どこのどいつだ!」
「ぶっ殺してやる」
「誰か恨みでも買ってる奴がいるんじゃないのか?」
「ばーか、そんなのはここにいる全員だろうが」
「ちげーねぇ!」
テーブルや椅子が散乱した店内に下卑た笑いがこだまする。
一人の男が急にまじめな顔になり、マスターに話しかける。
「で、親父どうするんだ?」
皆の視線がマスターに集中する。
「うーん」
男達がマスターの周りに集まってくる。一癖も二癖もという表現がぴったりの風貌だ。
「犯人を突き止めて、このお返しをするんだろうな?」
「そうさなー」
乗り気で無さそうなマスターを見て、男は不思議そうな顔をする。
「何悩んでるんだ? 親父の依頼なら安くしとくぜ」
「おうよ、いつも世話になってるからな。そうだろみんな?」
店内の客が声を揃えて答える。
「おう、まかしとけ!」
「スイーパーの斡旋所に仕掛けてくるような奴は、ただじゃおかねえ」
「そうだそうだ!」
勢いづく客達にマスターが呟く。
「まずはちらかった店内の掃除から頼むかのー」
皆、沈黙する。
「いつも世話になってるんじゃろ? ほら片付けた片付けた」
「マジかよ。仕事料はでるのか?」
「飯くらい食わせてやるよ。ほらそっちのテーブルと椅子」
「しかたねえなー」
ぶつぶついいながらも片付けを始める客達を尻目にエディはこっそり店を後にする。
(マスターわるいな。昨日のカードですっからかんなんだ。飯もありがたいけどまずは金、金。しゃあない。新しく出来た斡旋所にでも行ってみるか)
店の外に集まった野次馬をかき分けて街の中心部に向かう事にする。途中、軍警察の車とすれ違う。
(今頃お出ましかよ。ま、こんな下町の、おまけにスイーパーの斡旋所が現場じゃ点数も稼げないって事か)
しばらく歩くと賑やかな中心街に入る。今時のお洒落な格好をした連中でごった返している。ここで爆弾騒ぎが起きたら軍警察も張り切って駆けつけてくるんだろうな。
そんなことを考えつつ何気にポケットに手を突っ込むと指先に触れる物がある。
おや?という顔をしてポケットから一枚の紙を引っ張り出す。依頼書だった。
Posted by Syousa Karas at 06:03│Comments(1)
│小説
この記事へのコメント
おおお〜〜
小説だぁ^^
次が楽しみ〜みてみますネ〜〜
レタス口に放り込んだマスター何か良いキャラ^^v
小説だぁ^^
次が楽しみ〜みてみますネ〜〜
レタス口に放り込んだマスター何か良いキャラ^^v
Posted by tim at 2009年09月06日 09:26